昨年12月中旬、北海道新聞の名作料理店なる書籍を紹介する記事で、20世紀の初めに書かれたアメリカの作家、ジャック・ロンドン著(柴田元幸訳)の「火を熾(おこ)す」の紹介を読んで久々に好奇心がむくむくと湧き上がってきました。
早速、というほどではなかったのですが、年末に書店に探しに行ったところ、出版社でも品切れという中で本州の書店に在庫があることがわかり、やっと取り寄せてもらったのですよ。
極寒、白夜のカナダの平原を、仲間との合流点に向けてひたすら歩き続ける男の短編。
気温は華氏-70度(摂氏にして-45.6度)。男に付き従うのは一匹の犬のみ。死の危険と隣り合わせに、1本のマッチから火を熾す――。
-45℃以下の世界なんて、北海道にいても体験できません。体験なんぞしたら、死にます(笑) バナナで釘どころじゃないことだけは知識としてわかるのですが、少しずつ人としての感覚が消失していく様は、背中がぞくぞくしてきましたよ。
焼けるような痛みこそが生きている証で、極寒を行く人の姿を見つめる半野生の狼犬。
-10℃あまりでも鼻の中がひっつく感じや冷気で涙がにじむ、あの自然の前には何も太刀打ちできない感覚が蘇ってきます。
そんな世界の短編ひとつ読み終わっただけで、これだから小説は楽しいのだと、わきわきしてしまいましたよ(笑) 他にも8作の短編が収録されているので、ゆっくり、じっくり、読んでいこうと思います。
PR
COMMENT